海外中古建物の減価償却と損益通算(2021年分以降)
海外の中古建物は、日本の簡便法で耐用年数を短く計算できるため、減価償却費で大きな赤字を作る使い方がされてきました。2021年分以降は、その赤字の扱いが変わっています。
更新日:2026-10-12(制度・数値は同日に公的機関・公式ページで確認)
国税庁が示す特例の内容
国税庁のタックスアンサー(No.1391・No.2250)によると、令和3年(2021年)分以後、国外中古建物から生じた不動産所得の損失のうち、耐用年数を簡便法などにより計算した減価償却費に相当する部分は、生じなかったものとみなされます。この部分は、国内の不動産所得との内部通算も、給与所得など他の所得との損益通算もできません。
計算例:赤字のうち通算できない額
| 項目 | 金額(円換算) |
|---|---|
| 家賃収入 | 300万円 |
| 減価償却費以外の経費 | 200万円 |
| 減価償却費(簡便法による耐用年数) | 400万円 |
| 不動産所得 | −300万円 |
| うち減価償却費に相当する部分 | 300万円(赤字額を上限) |
| 国内の所得と通算できる額 | 0円 |
この例では、減価償却がなければ黒字(100万円)の物件で、赤字のすべてが減価償却費によるものです。そのため赤字300万円はすべて生じなかったものとみなされ、給与所得の税額を減らす効果はありません。
購入前に確認すること
- その建物が「国外中古建物」に当たるか(新築か中古か、所在地)
- 耐用年数の計算方法(簡便法か、それ以外の見積りか)
- 年ごとの赤字・黒字の見込みと、通算できない額
- 売却時の取得費の計算(減価償却費の扱い)
- 現地での課税と日本の外国税額控除の関係
売却時の取扱いや外国税額控除は、本ページで確認した国税庁の資料には詳しい記載がないため、税理士・税務署で確認してください。
「節税目的」の説明を聞いたら
この改正の前の仕組みを前提にした説明資料が残っていることがあります。セミナーや面談で節税効果を説明されたら、2021年分以降の扱いを反映しているか、作成日と作成者を確認してください(投資セミナーで聞く項目)。
相談先・申込先の選び方
国外中古建物の扱いは、国内の所得との通算、売却時の取得費、現地の税制が絡むため、国際税務に対応する税理士への確認が安全です。一般的な質問は国税庁の電話相談センターでも受け付けています。
よくある質問
新築の海外物件も対象ですか?
特例の対象は国外中古建物です。新築か中古かの判定や耐用年数の計算方法により扱いが変わるため、税務署・税理士に確認してください。
出典・公的情報
- 国税庁|No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算(2026-10-12確認)
- 国税庁|No.2250 損益通算(2026-10-12確認)
- 国税庁|No.5404 中古資産の耐用年数(2026-10-12確認)
- 国税庁|税についての相談窓口(2026-10-12確認)
計算例は本稿の仮定です。特例の詳細な適用要件・売却時の扱いは税務署・税理士で確認してください。
月額だけでなく、総額と条件も見てみよう。